扉日記

doors diary

イマジネーション2

キーワード、言葉がカギになる。カギ、カギはヒント。何かを空けるための言葉。何を空けるのか?言葉は必要ない。ほしいのは絵。絵が出てこない。何故?

絵を言葉で表現する。花、花は消えた。花火。絵の具で描かれた花火の絵。黒の画用紙。それを広げた。大きな画用紙。「すごい。」「天才だ。」「ここはどこ?」「ここは学校。」

「いつも学校に行っているの。」「そうなんだ」「学校では何をしているの」「お勉強」「どんな?」「恐竜を調べたりとか」「へー」「どんな恐竜?」「とても大きいの。牙のあるやつとか、羽のあるやつとか。いろんなのがいるんだよ。」「どうやって調べてるの?」「図鑑で。」「図鑑にはなんでも載っているよ。」「へー。すごいね。」「おもしろかった?」「おもしろかった!」

学校の階段を下りていき、横断歩道を渡り、砂利道を抜け、ぼくはアパートに帰った。君はそのまままっすぐに走って遊びに行ってしまった。いつも楽しそう・・。と思った。なんだか少しうれしくなった。

「君にはまだ何のルールもない。」「僕にはルールがたくさんある。」

ルールっていつからできるのだろう?本当は自由なのに。

ぼくの頭の中は凝り固まったルールでおおわれている。全部自分で決めたい。ルールには従いたくない。でもみんな、自分の頭の中までルールでいっぱいになっている。「みんな?」「みんなって?誰?」「それって自分のことでしょ。」「頭の体操ってどうやってやるのだろう?」「頭のラジオ体操とかあればいいのに」「そうすればみんな凝り固まった頭の中が少しだけ柔らかくなるのかもしれない」とぼくは思った。

子供になりたい。おとなってつまらない。大人って何?ぼくはいつ大人になった?いやなってない。よかった・・・。

おとななんていない。いるのはただ自分だけだ。そう思った。ぼくはずっと特に何も変わらない。ずっと前から、そしてこれからも。

世界はずっとある。ぼくが生まれる前から、そしていなくなった後も。それをぼくはずっと知ってたような気がする。ぼくが生まれるずっと前から僕はずっといたような気がする。だからぼくは生まれていない。ぼくはぼくではない。ぼくはいない。ずっといるのはこの世界だけ。ぼくはずっといて、これからもずっといなくならない。だから本当は僕なんていないんだ。君も。みんなこのことを知っているのだろうか?たぶん知らない。きっと知らないんだと思う。僕も知らなかったから。自分が自分からはみ出れば、ぼくはいつでも違う世界に行ける。君もそうやっている。

みんなは自分の小さな世界にだけ住んでいる。でも君はちがう。だから君は天才。君は君ではなくて天なんだ。「いつも自由でいて。花火の絵すごく素敵だった。」

「君が思うようにやってみて。そうすればきっと全部うまく行くから。」

「おかえりなさい」

「疲れたでしょ?ゆっくり休んでね。」

「良い夢みれるといいね。」

8月の終わりに二人で行った海のこときっといつか思い出すよ。君がホタテの貝殻を拾ったこと、君はきっと忘れるだろうけれど。

海がキラキラ輝いていて綺麗だった。とても良い時間だった。

覚えているのは全部良いことだけ。

なんかいままでずっと、よいことしかなかったような気がする。そしてこれからも。ずっと。

少し海の香りがしたような気がした。

今度ホタテを食べよう。