扉日記

doors diary

イマジネーション7

奇想天外なことを6つ考えるのは朝飯前じゃないので無理だ。

夕焼け空?朝焼け?どちらかわからない。海の匂い。オープンカー。

朝っぽい。海に掛かる大きな橋。

まだ太陽が昇らずに少し肌寒い。

帽子が飛ばされた。

朝まで遊んだ帰り。

風が気持ちよい。

眠いのを通り越して目がさえてきた。

橋の左手の海の向こうから太陽が上りはじめ、頭上の星は消えかかっているけどまだいくつか残っている。

今何時だろうと思う。

時計を見ると4時30分。

ほかに車は走っていない。

もう少しで街に入る。街も静かでまだ街が動いている感じがしない。

街もみんなも眠っているんだと思う。

街には入らずにハンドルを左に切って少し海沿いを走ろう。

もう少し海の景色を見ていたい。

殺気よりも少し明るくなって、なんとなく寒くなくなってきた。

岸壁に車を止めて、海を眺める。太陽のほうだけ水色になってきて、頭の上はまだ少し暗く灰色っぽい。星はもうなくなった。

魚いないかな?と海をのぞき込むけれど魚が見える感じがしない。

急に森に行きたくなる。

キャンプ場の横に森がある。

森の匂い。栗の木?クヌギの木?栗が見当たらないからたぶんクヌギ。カブトムシがいそう。ぼくの嗅覚が働いた。

木はまばらでサンダルだけど入っていきけそう。

木をけって揺らしてみる。何も落ちてこない。

この木にはいない。

別の木。ここはいる。

でも幹が太くて蹴っても落ちてこなそう。

もっと細い木。

これは?

ハチ。

いなくなった。

えい。

地面にドサッと一つ何か落ちる。「やっぱりいた!」

ノコギリクワガタがひっくり返っても動かなくなっている。たぶんびっくりして止まってしまったのだろう。

ノコギリクワガタは意外とあんまり動かない。

彼を手に取って左手にくっつけて、キャンプ場のほうに出る。

これはイメージ。自分は今海の岸壁にいる。

これもイメージ。

イメージの中の自分のイメージ。

今はソファーに座ってパソコンに頭に浮かんだイメージをそのままタイピングしている。

これもイメージ。でも実際も同じ。イメージと現実がリンクしてくる。

横の鏡には全部反対の自分が同じリズムで指を動かしてタイピングしている。

鏡をのぞき込むと彼も同じように僕をのぞき込んだ。

胸のあたりがドキッとなってびっくりした。

現実と夢。夢とイメージ。勝手に浮かんでくるもの。自分が作り出したもの。それらには何も区別がないように感じる。

自分が作り出したイメージは自分が作り出したのではないように感じる。誰?

自分が誰なのかよくわからなくなる。

自分は宇宙のどの辺にいるのだろう?

宇宙の地図がよくわからない。世界地図みたいに広げられるのかな?

宇宙。自分がいなくなる。宇宙をずっと進んで行ってみる。

さきのほうが明るく白くなっていて、無数の星と銀河。星がたくさん渦巻いている。

白い光が大きくなってくる。

自分が目を覚ます。

南国の風景。

自分は南国に行きたいんだ。

南国の砂浜で夜空を見上げる。

無数の星が見える。

流れ星。

たくさん流れる。

星が回り始める。

イルカが飛び跳ねる。

遠くに三日月。

海岸から戻って銀色のオープンカーに乗り込む。

赤いシート。

DAIさんのベンツ。

暗闇の中を走る。まだ夜が明けない。遠くに大きな橋が見える。

最初に戻った。

また夜が明けてきた。

橋の左手の海の奥のほうが明るくなってきた。

あそこから太陽が登るんだ。

帽子が飛ばされた。

空にはまだ星が残っている。

なんかこの景色覚えている。

まるで昨日のことのように。

まだ少し肌寒く、風が気持ちよく感じた。